第34 回バイオメカニズム学術講演会(SOBIM2013 in Tokorozawa)
− 未来に向けた相互理解 −
Ver.10 2013/11/07改定版
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主催:バイオメカニズム学会
会期:2013年11月16日(土)17日(日)
後援:国立障害者リハビリテーションセンター
会場:国立障害者リハビリテーションセンター
〒359-8555 埼玉県所沢市並木4-1
実行委員長:廣瀬秀行(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
1.講演会内容
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●一般演題
●使える!技術セミナー
[C1-2. 技術セミナー1] 2013年11月16日(土) 11:00-12:00 | |
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がん骨転移患者の寝返り支援に向けた筋電制御型体幹回旋拘束装具の開発 | |
講師 | 安藤 健 先生(早稲田大学) |
使える! | 人間支援ロボットが学べる |
[要旨]
がんの末期に骨転移が起こると、患者の骨は極めて脆弱になり、
寝返り動作に伴う体幹の回旋動作などによって激しい疼痛や骨折が発生する。
本研究では生体計測とメカトロニクスの知見を活かし、ターミナル・ケアにおけるペインマネジメントを実現する
「がん骨転移患者の寝返り支援に向けた筋電制御型体幹回旋拘束装具の開発」を行う。
患者の寝返り動作を筋電信号の解析、およびニューラルネットワークの認識によって検知し、
痛みを引き起こす体幹の捻りだけを体幹に配置された空気圧ゴム人工筋を駆動させることで抑制するという
寝返り動作を受動的にアシストするもので、この機器の開発により末期ガン患者のQOL向上とADL獲得の実現を目指す。
本年度は、寝返り支援機器の入力信号となる筋電位に関して、素早く、正確に寝返り動作時の筋電位を検出し、
動作認識を行うために、著者らが提案・開発したミクロ・マクロ・ニューラルネットワークに対して、
その最適構造決定方法をアルゴリズム化し、寝返り動作以外の緩慢な動作の動作認識にも適用可能となるように
汎用性を高めた。また、実際の環境を想定した評価実験を行い、寝返り動作と起き上がり動作を識別する
排他的論理和を用いたアルゴリズムを開発し、筋電位の電気機械的遅延(EMD)などを用いて認識性能を評価した。
さらに、ハードウエアに関しては、生体筋と特性が近く人体との親和性が高い空気駆動型ゴム人工筋を用いて、
体幹回旋を抑制する機構の開発を行った。まず人体の体幹回旋動作の運動学的特徴を計測し、モデル化することで、
最適な空気圧ゴム人工筋の配置方法、配置長の設計を行った。また、人体への安全性、親和性を十分に配慮した
ハードウエアの設計・製作を行い、提案機構の有効性を体幹回旋角度、体幹への負荷力、肩周辺部への圧力などを計測することで
評価した。最後に、寝返り動作の認識に関するソフトウエアと開発したハードウエアのシステムインテグレーションを行い、
トータルシステムとしての性能を評価した。以上により、内腹斜筋の筋電信号を入力信号とした寝返り動作支援システムを開発し、
高応答かつ高精度に寝返り動作を認識し、安全かつ適切に体幹の回旋を防ぐという要求性能を実現していることを確認した。
本セミナーにおいて、上記の寝返り支援ロボットを題材として、人間支援ロボットの開発手法および現在の問題点について解説する。
特に、生体信号を用いて、使用者の運動を直感的に支援する手法、ロボットを用いて使用者を優しく支援する手法について論じる。
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[C1-3. 技術セミナー2] 2013年11月16日(土) 13:15-14:05 | |
軽度認知症者の認知特性と情報端末入力方式に関する研究 | |
講師 | 二瓶美里 先生(東京大学) |
使える! | 認知症のためのデバイス設計が学べる |
[要旨]
情報端末は情報の記録からコミュニケーションまで様々な用途に用いられており,若年層だけではなく高齢層にも使いやすいデザインが求められている.また,情報端末は高齢者や認知症者の記憶を支援するツールとしても期待されており,国内外において認知症の在宅生活を支援する情報端末の開発が進められている.情報端末を使いこなす高齢層が現れる一方で,認知症などの認知機能の障害によってこれまで使用できていたものが使用できなくなるという事例が多く報告されている.認知症は進行すると認知機能の低下によって情報端末などの電子機器の使用が困難になるといわれている.これは,認知機能の中でも記憶機能や注意機能の低下が要因と考えられる.しかし,機器の導入を判断する際にそれらがどの程度残存しているとどこまで操作が可能なのか,認知機能と操作の関係が明確になっておらず,(端末の使用を勧められて操作をしてみたが,うまくできなかった等)過大評価されることで自尊心が傷つけられたり,(使えないだろうから,買っても無駄だと決めつけられる等)過小評価されることによって機会の損失が起きていることもある。
そこで,本研究では認知症者(アルツハイマー病患者)の認知機能特性と情報端末使用の実行可能性の関係を明らかにし,認知機能特性に合わせた情報端末の入力方式と情報呈示方法を提案した.アルツハイマー病患者13名を対象とした操作・課題実行実験の結果,認知症が軽度(CDR0.5)であれば「文字入力」が可能だが「ボタン操作」や「記憶の想起」に関する一連の操作には補助が必要であることを確認した.また,高齢者20名を対象とした「文字入力」「記憶の想起」に関する実験を行った.その結果,注意機能が低下すると使用経験に関わらずQWERTY配列の操作がしづらくなることがわかった.さらに,逐次的な情報呈示,すなわち一画面内の情報量を制限し一画面内で完結した指示を行うことで,わかりやすさだけではなく近時記憶の想起が促されることがわかった.
さらに,本報告では,これらの研究を通して筆者が試行錯誤してきた,高齢者や認知症の方に実験に参加していただくための手続きやツール,方法などを紹介する.
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[C1-4. 技術セミナー3] 2013年11月16日(土) 14:25-15:15 | |
ボールバウンシング動作の速度と熟練度の違いが関節スティフネスに及ぼす影響 | |
講師 | 岩見雅人 先生(東京農工大学) |
使える! | 筋機能の評価法が学べる |
[要旨]
多くの日常動作やスポーツ動作において、ヒトは外的環境の変化に併せて動作速度を適切に調整している.また,ヒトのみならず馬においてもウォーク→トロット→ギャロップのように,歩容を変化させることで移動速度を調整し,個体にとって効率の良い動作を選択していることが明らかとなっている.一方,スポーツ競技場面においては,攻守の駆け引きによって動作速度を意図的に変化させることが多く,そのスキルが高度なパフォーマンスに重要な要素として関わっている.特に,「動作速度×効率性」の関係性は熟練度によって異なると考えられ,素早い動作を少ない筋活動量で遂行できることがより高度なパフォーマンス発揮へと貢献すると考えられる.
そこで筆者らは,種々の球技において用いられているボールバウンシング動作に着目した.ボールバウンシング動作は,「ジグザグドリブル」のように,運動協調性を評価する上でも有用な動作課題とされている.しかし,その動作速度や熟練度の違いを動作解析や筋活動から比較・検討した研究はなく,ボールバウンシングの速度変化に伴う運動制御様式は明らかではない.そこで本研究では,熟練度の異なる被験者に対して異なる速度条件でボールバウンシング動作を実施させ,運動学的,電気生理学的データの変化を捉えた.その結果,動作速度の増加に伴う関節角度変位と筋活動様相の関係性が変化し,またその変化様相は熟練度によって異なっていた.これらの結果は,速度条件による変化や熟練度の相違は制御戦略の違いを表しており,熟練群は各速度条件に対して関節スティフネスを合目的的に調節していることを示唆している.これらの研究を基に,本セミナーでは筋電図を中心とした筋機能の評価法に焦点を当て,巧みな運動制御戦略を捉える試みについて紹介する予定である.
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[C2-1. 技術セミナー4] 2013年11月17日(日) 10:00-10:50 | |
異なる投球速度に対する野球の打撃動作に関する下肢および体幹部のキネティクス的研究 | |
講師 | 高木斗希夫 先生(国立スポーツ科学センター) |
使える! | スポーツ動作の力学的仕組みが学べる |
[要旨]
野球打撃において,打球速度を大きくするためには@バット速度を大きくすること,A空間的かつ時間的に正確にバットをボールに衝突させることが重要である.また,多くの投手は,速球を中心に配球(球速,球種,コースなど)を組み立てるため,打者が速球に対して打球速度を大きくできる能力を備えることは,パフォーマンス向上にとって有効である.先行研究において著者らは,速度の異なるボールに対する打撃動作の特徴を明らかにすることにより,速度の大きいボールに対して打球速度を大きくするための動作要因を検討している.その結果から,投手方向への移動を抑えること,体幹の捻りが最大となる時点からインパクトまでの体幹部・バットの回転動作範囲を抑えることが,重要な技術要素であることを示唆している.一方で,これらの動作を生成する力学的要因については明らかにされていない.動作を生成する力学的要因の解明は,指導やトレーニングを考える上でも有用な知見になると考えられる.以上のことから,本研究では,野球における速度の異なるボールに対する打撃動作に影響を及ぼす力学的要因を明らかにすることを目的とした.
速度の異なるボール(75-80km/h,100-105km/h,125-130km/h)を被験者に打撃させ,3 次元自動動作分析システムを用いて動作を計測するとともに,2 台のフォースプラットフォームを用いて両足下の地面反力を計測した.計測データから,下肢及び体幹部に作用する関節力および関節トルクなどを算出した.
本セミナーでは,以上の方法により,野球打撃における身体の投手方向への移動や体幹部の回転を制御する力学的な仕組みについて説明する予定である.
体育科学においては,パフォーマンス向上が研究の最終的な目的として設定される場合が多い.この場合,パフォーマンスをどのように定義するか,パフォーマンスを決定するための技術要素は何か,そのために必要な動作やその力学的要因は何か,といったことが研究の主題となるだろう.本セミナーでは,野球打撃の力学的な分析を通じて,これらの事柄についても意見交換ができればと考えている.
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[C2-2. 技術セミナー5] 2013年11月17日(日) 11:10-12:00 | |
装具底屈制動モーメントによる片麻痺歩行の変化 | |
講師 | 櫻井愛子 先生(国際医療福祉大学三田病院) |
使える! | 片麻痺者の歩行が学べる |
[要旨]
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を発症すると,脳組織の損傷により運動,感覚などの様々な機能障害が出現する.身体の片側上下肢の随意的な運動が困難となる脳卒中片麻痺者では,機能改善や歩行能力向上の目的で短下肢装具(Ankle Foot Orthoses, AFO)を使用することが多い.脳卒中片麻痺者の歩行において,立脚初期に働くAFOの底屈制動モーメントが重要であることは,山本らにより報告されているが,身体機能や能力の異なる各片麻痺者に「適切な」底屈制動モーメントとは各々どのような大きさなのか,「適切な」底屈制動モーメントのAFOを装着することにより,片麻痺者の歩行が「どのような時期」に,「どの部位の動き」が,「どのように変化」するのかは明らかになっていない.
リハビリテーションの場面では,上述の適切さの判定や歩行周期における身体運動の変化は,個々の医師や理学療法士,作業療法士が目で見て,主観的に判断することがほとんどである.定量的かつ客観的な評価がされてこなかった背景には,様々な病態や身体機能をもつ脳卒中片麻痺者に対し,何をもって適切とするのか,どの時期のどのような動きの変化をもって改善とするのか,パラメータの選択が大変難しいことが一因としてある.
本技術セミナーでは,発症からの期間や身体機能,歩行能力が異なる脳卒中片麻痺者14例に対して,
(1)適切な底屈制動モーメントの大きさを決定するため,各片麻痺者に4段階の底屈制動モーメントの大きさのAFOを装着して歩行していただき,歩行の改善を示す7つの歩行分析項目から,「適切さ」の判断をした結果について紹介する.また身体機能や歩行能力により,「適切な」底屈制動モーメントの大きさに一定の傾向が認められたかを報告する.
(2)各片麻痺者が,「適切な」底屈制動モーメントを付加したAFOを装着して歩行した場合,立脚初期に作用する底屈制動モーメントが,立脚中期以降の動きも変化させるのか.また,AFOの装着している足関節のみでなく,骨盤や体幹の動きも変化させるのかについて報告する.
本技術セミナーで報告する研究結果は,3次元動作解析システムを使用した定量的な評価結果ではあるが,「適切さ」や「歩行の改善」を判断するためのパラメータの選択には,臨床で理学療法士として働いている自身の主観的判断が多々含まれている.リハビリテーションの分野のみでなく,多くの分野の先生方に聞いていただき,臨床家の思考過程を理解していただくとともに,御意見をいただければ幸いである.
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●[会告]今年は機器展示がありませんので、ご注意ください。
2.一般演題発表募集
一般演題発表募集は締め切りました。 |
一般演題発表の採否連絡は、既に完了しております。 |
一般演題発表の予稿集原稿の受領連絡は、既に完了しております(9/9)。 |
[講演資格]
なお、講演会初日に35歳いかの本学会会員講演者(登壇者)は、バイオメカニズム学会奨励賞の対象になります。
[講演方法]
PC接続可能なプロジェクタを用意します(注)
ただし、PCは各自で持参してください。
その他の機器は、原則として用意いたしません。
特別な事情で、その他の機器が不可欠な場合は、事前に大会事務局まで、ご連絡ください。
注:D-SUB15ピンを入力端子とした液晶プロジェクタを用意します。
D-SUB15ピンと異なる形状の出力端子の場合は、変換アダプターをご持参ください。
4.参加費
事前参加登録は締め切りました。 当日、受付での参加登録をお待ちしております。
事前登録 | 当日登録 | |
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会員(予稿集つき) | 9,000円 | 10,000円 |
非会員(予稿集つき) | 11,000円 | 12,000円 |
学生(予稿集つき) | 5,000円 | |
学生(予稿集なし) | 2,000円 | |
予稿集 | 5,000円 |
5.懇親会
6.広告掲載に関するご案内
広告の申し込みは締め切りました。
[会告]今年は機器展示がありませんので、ご注意ください。
7.第34回バイオメカニズム学術講演会 事務局
〒359-8555 埼玉県所沢市並木4-1
国立障害者リハビリテーションセンター
実行委員長 廣瀬 秀行
連絡用E-mail: sobim2013@paradise.mech.waseda.ac.jp
学術講演会HP 学会HPから供覧リンク展開中!
http://www.sugano.mech.waseda.ac.jp/biomech/SOBIM2013.htm
*新規情報を随時、ご確認ください*
8.協賛団体
計測自動制御学会 | 日本作業療法士協会 | 日本理学療法士協会 |
システム制御情報学会 | 日本シミュレーション学会 | 日本リハビリテーション医学会 |
情報処理学会 | 日本写真測量学会 | 日本リハビリテーション看護学会 |
人工知能学会 | 日本人工臓器学会 | 日本リハビリテーション工学協会 |
人体科学会 | 日本人類学会 | 日本臨床スポーツ医学会 |
精密工学会 | 日本生活支援工学会 | 日本臨床神経生理学会 |
電気学会 | 日本整形外科学会 | 日本臨床バイオメカニクス学会 |
電子情報通信学会 | 日本生体医工学会 | 日本ロボット学会 |
日本運動生理学会 | 日本生理学会 | 日本ロボット工業会 |
日本FES研究会 | 日本体育学会 | ヒューマンインタフェース学会 |
日本看護科学学会 | 日本体力医学会 | ライフサポート学会 |
日本看護技術学会 | 日本人間工学会 | 臨床歩行分析研究会 |
日本機械学会 | 日本バイオマテリアル学会 | IEEE EMBS Japan Chapter |
日本義肢装具学会 | 日本バイオメカニクス学会 | IEEE EMBS West Japan Chapter |
日本義肢装具士協会 | 日本福祉のまちづくり学会 | |
日本建築学会 | 日本補綴歯科学会 |
9.委員会組織
実行委員長 | 廣瀬 秀行 | 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 |
実行委員長補佐 | 井上 剛伸 | 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 |
プログラム委員長 | 新妻 淳子 | 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 |
事務局長 | 石渡 利奈 | 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 |
委員 | 中村 美緒 | 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 |
委員 | 高嶋 孝倫 | 国立障害者リハビリテーションセンター学院義肢装具学科 |
委員 | 國澤 尚子 | 医療生協さいたま生活協同組合 |
委員 | 白銀 暁 | 埼玉県立大学 |
委員 | 八十島 崇 | 埼玉県立大学 |
委員 | 小林 吉之 | 産総研・デジタルヒューマン工学研究センター |
委員 | 保原 浩明 | 産総研・デジタルヒューマン工学研究センター |
委員 | 飯塚 敏幸 | 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 |
皆様のご参加をお待ちしています!所沢であいましょう!!>
(Ver.10 2013/11/07改定版)