いちご収穫ロボット
研究テーマ
いちご農園における作業の自動化および軽労化を目的として研究を行っております。開発したいちご収穫ロボットは、カメラでいちご果実を認識し、果柄を切断・把持することによって、いちごを収穫していきます。近年では農園全体の作業プロセスの軽労化にも着目して研究を行っております。
研究概要
近年の農業従事者の人口減少や高齢化を受け、ロボットテクノロジー技術(RT技術)の導入による作業の省力化、軽労化への期待が高まっています。いちご栽培においては、ロボットの導入がしやすい圃場、栽培方式(高設架台)などが広まりを見せており、いちご農園へのロボット技術の導入が可能な下地が揃いつつあります。そこで本プロジェクトでは、長時間かつ重労働である、いちご収穫作業を省力化するため、夜間に自動で果実の収穫、回収、集積の一連の作業を行う収穫ロボット及び農園システムの開発を行っています。
※この研究は生研センターの次世代農業機械等緊急開発事業(緊プロ事業)の一環として、株式会社前川製作所との共同研究で行っております。
いちご収穫ロボットシステム
いちご農園での収穫作業支援システムへの要求仕様として、下記の項目に着目しました。
- 大変柔らかいいちごの果実を傷つけない
 - 群を成して成熟するいちご果実の特性に対応しながら、高い収量を目指す
 
以上の要求から、以下のシステムを開発しました。
夜間の自動収穫作業
圃場にレールを敷き、圃場内を自動的に移動しながら、マニピュレータによっていちご果実を収穫し、トレイに配置します。作業は夜間に行うため、いちご認識のためのステレオカメラおよび照明装置を装備しています。
高設果台内側からのアプローチ
果実群内に置いて、赤熟果が相対的に果実群の下部に垂れ下がる特質に着目し、高設架台内側からのアプローチが可能なロボットシステムを確立しました。
架台の左右に対して対象な認識システム
本システムでは、ステレオカメラによる画像認識によって、収穫対象となる赤熟果の位置を認識します。高設架台内側から、架台の両側へのアプローチを行う本システムでは、アプローチ側と反対側の果実群を認識することによって、タクトタイムの短縮をはかっています。
果柄把持型エンドエフェクタ
柔らかい果実を把持することなく、果柄を把持・切断することによって収穫するためのエンドエフェクタを開発しました。

成果・発表(学会発表・論文等)
国内学会
- “高設栽培いちご収穫ロボットのための 架台内外両側アプローチ収穫法”,第10回 計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会(SI2009),2009
 - “内外両側アプローチ可能ないちご収穫ロボットにおける果柄接触取込型エンドエフェクタの開発”,ROBOMEC09 福岡大会,2009
 - “高設栽培いちごの夜間自動収穫システムの提案 ~果柄把持型収穫マニピュレータおよびユニット交換型果実搬送ロボットの開発~”,ROBOMEC08 長野大会,2008
 
過去に所属していたメンバー
- 菅原 英剛
 - 中尾 真梨子
 - 堀内 大介