認知ロボティクス班
研究テーマ
人間の認知機能に基づき、汎用的な動作を可能とするロボットの開発
研究概要
少子高齢化や労働力不足の進行に伴い、家庭内作業を代替・支援できるロボット技術への社会的ニーズが高まっています。こうしたニーズに応えるためには、調理や洗濯などの複雑かつ多様なタスクに柔軟に対応可能な、汎用的な動作生成能力を備えたロボットの実現が求められます。
  認知ロボティクス班では、「予測符号化理論」に着想を得た動作生成モデルを用い、より人間らしい認知機能を持つロボットの開発に取り組んでいます。人間の脳は、感覚入力と予測の誤差を最小化することで情報処理を行っているとされており、本研究ではその理論に基づき、ボトムアップ処理(感覚入力)とトップダウン処理(予測・意図)を統合する深層予測学習モデルを構築しています。このモデルにより、対象物の複雑な操作や状況変化に適応した柔軟な動作を実現します。
  具体的には、形状が変化しやすい衣類の操作や、加熱や攪拌によって状態が変化する調理中の食材の取り扱いなどを対象としています。これらのタスクでは、対象物の形状、色、温度などに応じて適切な動作を生成する必要があります。また現在は、ロボットの視野を適応的に制御する機構、動作予測の不確実性を考慮した意思決定、双腕による協調動作の生成といったテーマにも取り組んでいます。
  本研究は、基幹理工学部 表現工学科 尾形哲也研究室の動作生成班と連携し、先端的なロボット知能の実現を目指して推進されています。






成果・発表(学会発表・論文等)
国際学会
- Namiko Saito, Takumi Shimizu, Tetsuya Ogata, and Shigeki Sugano: Utilization of Image/Force/Tactile Sensor Data for Object-shape-oriented Manipulation, Proceedings of 2022 IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA 2022), accepted, (acceptance rate 43.1%), Philadelphia, USA, May 23 – 27, 2022. ICRA 2022 Travel Grant
 
国内学会
- 青木駿介, 鹿田玄輝, 伊藤洋, 尾形哲也, 菅野重樹: 階層型深層予測学習モデルを用いた双腕協調動作の生成, 日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会, 1P1-N03, 山形ビッグウイング, 2025年6月5日
 - 河田璃子, 伊藤洋, 昼間彪吾, 蔡賢博, 尾形哲也, 菅野重樹: 予測分散最小化による動的位置変化を伴う柔軟物体の把持動作生成, 日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会, 1P1-N01, 山形ビッグウイング, 2025年6月5日
 - 久保杏由南, 伊藤洋, Simon Armleder, 尾形哲也, Gordon Cheng, 菅野重樹: ロボット視野の適応的な動きによる作業エリアの拡大と動作性能の向上, 計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会SI2024, 1D7-07, アイーナいわて県民情報交流センター, 2024年12月18日.
 - 藤田幸哉, 伊藤洋, 一藁秀行, 斎藤菜美子, 久保杏由南, 尾形哲也, 菅野重樹: マルチモーダル情報を扱う奥行きを考慮した動作生成モデルによる柔軟物操作の精度向上, 第38回人工知能学会全国大会, 3O1-OS-16b-03, アクトシティ浜松+オンライン, 2024年5月30日.
 - 久保杏由南, 斎藤菜美子, 鈴木彼方, 伊藤洋, 尾形哲也, 菅野重樹: 対象物の特徴の共有による複数タスク動作生成のための深層学習モデル, 日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会,2A1-H05, 2023年6月30日.
 - 平本万結, 斉藤菜美子, 尾形哲也, 菅野重樹: 料理ロボットのための注意機構を用いたリアルタイム能動知覚モデル-食材の特徴に応じた料理のかき混ぜ動作の実現-, 情報処理学会第84回全国大会,4V-08,愛媛大学,2022年3月4日.学生奨励賞
 - 清水拓実,斎藤菜美子,尾形哲也,菅野重樹:触覚/運動情報を用いた立体オブジェクトにおける拭き取り動作の学習,情報処理学会第83回全国大会,2Q-04,オンライン,2021年3月18日.